動産執行の申立ては差し押さえられるべき動産の所在地の執行官に対して行う。動産執行は差し押さえるb気場所を特定しなければならないが、差し押さえるべき財産は特定しなくてもよい点で、不動産執行あるいは債権執行と異なる。しかし、債権執行は債権者の生活権保護の観点から差押禁止財産が法定されており、差し押さえるべき財産に制限が加えられていること、動産自体の価値が低いことなどから、あまり効果的な債権回収方法とはいえない。
2.不動産執行
不動産執行は執行の対象となる不動産の所在地を管轄する地方裁判所が執行機関となる。裁判所は申立てが適法であれば強制競売開始決定をし、その登記がされる。この開始決定には、その不動産を差し押さえる効力がある。その後、裁判所は、執行官に不動産の現状調査を命じ、不動産鑑定士に不動産の評価をさせたうえで、売却基準価額、入札時期を定めた売却期間に競売が実施される。買受申出人が出てくればその者に売却許可決定をし、売却代金を納付させその代金を債権者に弁済(配当)する。
3.債権執行
債権執行は、債権者が第三債務者に対して有する債権、たとえば売掛金や給料、銀行預金など差し押さえるものである。
申立てがあれば、裁判所は債権差押え命令を発し、この命令が第三債務所に送達されたときに差押えの効力が生じる。
差押え命令が債務者に送達されてから1週間を経過した後に、申立債権者は直接第三債務者から差し押さえた債権を取り立てることが出来る。※上記、口座差押えがこれにあたる。
強制執行においては、差押え当時に債務者に属する財産のうち、法律上あるいは性質上、譲渡禁止のある財産や換価不能の財産を除いて、すべての種類の財産が、還俗として差押えの対象となりうる。金銭債務についての執行では、執行開始の時に債務者に属する金銭的価値のある財産(預貯金、給与債権、債務者が第三者に対して有する売掛金債権、貸金債権など)は原則として責任財産(ある請求権の強制的実現のために執行の対象とされる執行開始当時の債務者の財産)となる。
(2)執行対象とならない債権
(ア)動産執行となる有価証券上の債権
債権を表章するために発行された有価証券であって、権利の譲渡が有価証券の譲渡の方法でなされた場合には、その有価証券は動産執行の対象となり、債権執行の対象とはならない。
(イ)差押禁止債権
給料や退職手当などは、原則として債務者の責任財産であり、刺しpさ得ることができるが、債務者の最低生活の保障のため、一定範囲は差押禁止とされている(民事執行法152条)。
(A)給料等
債務者が国や地方公共団体以外のものから生活維持のために給付を受ける私的な継続的債権および給料等の性質を有する給付に係る債権については、その支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分を原則として差押禁止としている。しかし、債務者が高額所得者の場合には債務者に留保される債権額が多くなり過ぎることから、、差押禁止額の上限は「標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額とされている。
たとえば、政令で定める額が30万円だとした場合、差し押さえられた給料が20万円の場合には20万円の4分の3にあたる額(15万円)は30万円に満たないので、この額を控除した5万円が差押可能額になる。差し押さえた給料が60万円の場合には60万円の4分の3にあたる額(45万円)は30万円を超えているので30万円が差押禁止額となるので60万円から30万円を控除した30万円が差押可能額となる。
(B)債務者の生活維持のために支払われる継続的給付
国または地方自治体からの給付については、通常、全額が差押禁止とされている(生活保護法58条)
(C)退職手当等
退職時に一時金として支払われる退職手当およびその性質を有する給与の再建については、一律4分の3に相当する額が差押禁止債権とされている(額の上限が政令で定める額とする制限がない)、退職金が銀行等の債務者の預金口座に振り込まれた場合には全額が差押可能となるが、退職金は老後の生活資金という性質があることから、債務者が老齢である場合には民事執行法153条により差押え命令の取り消しが認めらることもある。
(D)その他
法令により差押禁止が明規されていない債権であっても、債権の性質により譲渡が禁止っされ、あるいは他人による行使が許されない債権は差し押さえることが出来ない。たとえば、①帰属上または行使上の一身専属件(たとえば、権利行使の意思が未確定の名誉棄損による損害賠償請求権)、②受任者の費用前払請求権のように他人が給付を受けたのでは目的を達し得ない債権などである。しかし、私人間の譲渡禁止の特約(民法466条2項)によって一般債権者のための責任財産性を排除することを認めることは適当ではないことから、私人間の譲渡禁止特約がある場合であっても、債権を差し押さえることができる(最決昭和45・4・10民集24巻4号240頁)
(1)被差押債権特定
債権は、外部からは把握しにくいものであり、債権差押えの申立ての段階で個々の債権の特定を厳格に要求できない。そこで、債権を特定するためには、第三債務者において①被差押債権(差し押さえられる債権。たとえば債務者が第三債務者に対して有する給料債権、売掛金債権など)が差押禁止再建にあたるか否かの判断、②債務者が同一の第三債務者に対して複数の債権を有する場合に、どの債権が差し押さえられたかの判断が可能かという点を考慮して記載する必要がある。それが可能である限り、債権の発生年月日・原因や額の記載は必ずも必要ではない。
(2)差押えの範囲
金銭は分割給付が可能であるが、1個の債権に対しては、債権額がそれより小さくても全体を差し押さえることが出来る(民事執行法146条1項。たとえば、債権額が50万円であっても、差し押さえられる被差押債権である貸金債権額が100万円の場合には、その金額について差押えができる)。目的債権が複数ある場合には超過差押えは禁止され、一部の債権の価額(実価)によって債権の完全な満足を得ることが出来る場合には、他の際嫌悪差押えは許されない(民事執行法146条2項 たとえば、債権額が50万円あるとき、差し押さえる定期預金として100万円の定期預金が2つあった場合、そのうちの1口は差し押さえることができるが、残り1口は差押えが出来ない。
(3)送達・効力発生時期
差押え命令は債務者と第三債務者の双方に送達され、第三債務者に送達された時に差押えの効力が生じる(民事執行法145条3項・4項)。対抗要件(たとえば、確定日付のある譲渡の通知または承諾(民法467条)、特定債権法による広告、債権譲渡特例法による債権譲渡登記など)を備えた債権譲渡との優劣は、この時と基準にして判断される。
(4)差押の効力
差押えの効力は、差押命令において限定がない限り、目的債権の全額に及び、従たる権利(差し押さえ発効後に支払期が到来する利息債権等)にもおよび。債権の一部が差し押さえられた場合には、その残余の部分を超えてさらに差押・仮押さえがあったときは、差押の効力は債権の全部に及ぶ(民事執行法149条)
(5)第三債務者の陳述義務
申立債権者が存在するであろうと思っていた際健も、現実には存在しないことや相殺により消滅する運命にある場合がある。申立債権者は、このような点に関する正確な情報を得て、その後の行動(取立訴訟の提起あるいは他の債権回収手段の選択)を決定する必要がある。そこで、申立債権者は執行機関に対して、第三債務者に被差押債権の存否、その他の所定事項について陳述するように催告することを求めることができる。(民事執行法147条)。この際国に応じて第三債務者がなす陳述は事実報告の性質を有するにすぎず、誤って債権の存在を認めて弁済の意思を述べ、あるいはなすべき陳述をしなかったときはこれより申立債権者に生じた損害(ただちに他の取立手段を講じなかったことによる回収不能の損害など)を賠償する義務を負う。
差押命令が債務者に送達されてた被から1週間経過した時は、申立債務者は被差押債権を取り立てることが出来る(民事執行法155条)。1週間の猶予期間は、差押命令に対して債務者に認められた執行抗告の権利(同法145条5号)の実効性を確保するためのものである。取立権限を得た申立債権者は、自己の名で、被差押債権の取立てに必要な裁判上・裁判外のいっさいの行為ができるが、取立て目的を超える行為(被差押債権の免除・放棄等)はできない。取立権の範囲は差押えの効力と同一であり、執行債権より金額の大きい1個の債権全体が差押えされた場合には(同法146条1項)、被差押債権全額について取立権限を有するが、執行債権と執行費用の額を限度としてのみ取立てが認められている(同法155条1項ただし書)。
(2)取立権の消滅・制限
債権者からの執行停止文章(調停調書、和解調書、当を債務名義とする強制執行について、その調停等の無効を確認する判決の正本、強制執行をしない旨または強制執行の申立てを取り下げる旨を記載した調停調書等の正本など)が提出され、執行手続きが取り消された時は、取立権限は消滅する。執行手続きの取り消しについて善意で弁済をなした第三債務者は債務の準占有者への弁済(民法478条)として救済される。債権執行の申立てが取り下げられた場合も同様である。(民事執行法規則136条1項)
(3)第三債務者による弁済
第三債務者による支払いは債務者の財産から支払いと位置付けられ、申立債権者が債務者から直接支払いを受けたときと同様に、その執行債権および執行費用は、支払いを受けた額の限度で弁済されたものとみなされる。(民事執行法155条2項)
なお、申立債権者は第三債務者から支払いをうけたときは直ちにその旨を執行裁判所に届け出なければならない。(民事執行法155条3項)
(1)概要
旧民事執行法では、請求が確定期限の到来に係わる場合には期限が到来しない限り強制執行を開始することができない(同法30条1項)とされていたことから、養育費などの定期金債権は、一般的には毎月数万円程度という少額であるが、毎月の支払いが怠ったときにその都度給料の差押の申し立てをせざるを得なかった。しかし、養育費等は債権者の日常の生計を維持するために不可欠なものであるにもかかわらず、不履行(未払い)の額がまとまるまで待たなければならないとするのは経済的にも困難を強いることになる。また、毎月のように強制執行を申し立てなければならないのでは手続き負担も重い。そこで、現行法は、養育費のような少額定期給付金債権の履行を確保sるために養育費その他の扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例を設け、定期券債権の一部が不履行となっているときは、まだ期限が到来していない定期金についても一括して、給料その他継続的な給付に係る債権に対する強制執行を開始することが出来るものとした(民事執行法151条の2)
(2)請求権限に関する要件
(ア)特例となる請求権限
この特例において請求債権とすることができるのは以下である。
①夫婦間の協力扶助義務(民法752条)②婚姻費用粉炭義務(同法760条)③この監護費用負担義務(同法766条)④扶養義務(同法877条~880条)の定期債権であって(民事執行法151条の2第1項)、確定期限の定めるものに限られている。
特別扱いされない請求債権は①財産分与請求(同法768条)に係る義務(法的性質として、a:離婚後における夫婦の一方の生計維持、b:夫婦の共同財産関係の清算、c:離婚に伴う損害賠償という要素が含まれていると解されており、具体的に定められる金額も必ずしも少額ではないことから除外されている)②扶養に係る義務(民法上の扶養義務を追わないものが、扶養契約により他者の生計維持を目的とする金銭債務を負担する場合があるが、このような扶養契約上の義務は、その額が定型的に少額であろうとはいえないうえ、金銭給付の契約の目的が「不要」であるが否かを執行機関が判断することは実際上困難であることから除外されている。
(イ)定期金債権の一部不履行
この特例により強制執行を開始するには、各定期金債権の一部に不履行があることが必要。これまでに全く不履行がない場合や過去に不履行があったものの、すでにその弁済を終えている場合についてまで、強制執行が開始されるとするのでは債務者の利益に害することになるからである。
(3)差押えの対象となる財産に関する要件
この特例で差し押さえられる財産は請求債権である養育費について、その確定期限(取り決められた支払期限日)に到来後に弁済期(給料日)が到達する給料などに限られている。(民事執行法151条の2第2項)。養育費の一部に不履行があるったときは養育費について取り言決められた支払期限後に債務者が受け取るべき給料は等が伊養育費の支払い財源(引当財産)となる蓋然性(がいぜんせい)が高いため、この給料に対する差押えをあらかじめ認めることとしても不当ではないと考えられたものである。
※この特例は離婚の時期、債権者名義の成立時期当が改正法の施行日前であっても適用される。
(4)差押禁止債権の範囲の特例
現行法では養育費等の金銭債務を請求する場合には給料債権等についての差押えが禁止される範囲を、その支払い期限に受けるべき給付の「4分の3」に相当する部分から「2分の1」に相当する部分に縮減された。(民事執行法152条3項)ただし、この特例が適用になる場合であっても、具体的な事例において不当な結果となる場合には、これまでどおり差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153上)をすることができる。
通常相談料 | 50分 10,000円 以後延長 30分 6,000 |
各相談パック | 1)相談パック(110分×3=合計330分 66,000円 離婚相談者の9割が相談パックを利用されます。 (閲覧必須)各相談パックのメリットについて |
書面作成 アドバイス料 |
1件 7,150円(相手方への提出書類の場合は1ケース) |
別居支援パック | 別居支援パック 1段階(経緯聴取・別居計画相談 110分×3=合計330分)合計66,000円 2段階(別居状況の確認と意向聴取 110分×6=合計660分)合計132,000円 ※月に2回、3ヶ月、6回の別居を基本計算としています。また、最終日に離婚となる場合は離婚についての取り決め相談も行います。 (1)最優先予約者(2)第二段階時の費用は3回まで分割可能 【メリット】 ・調停や裁判となり長期化することを回避できる ・第三者が入り別居することで両者が冷静に継続か離婚かを検討できる ・慰謝料・養育費・婚姻費用等の争いを避けることができる ・子どもに会わせたくない(同居親側)と子に会わせてもらえない(別居親側)という状態への対策となる。(相談なく子を連れて実家に等、子の連れ去りの抑止力になる) 調停や裁判に移行する可能性のある方や本人もしくは相手方が離婚を決意していて争わない様に離婚、もしくは婚姻を維持するための別居期間を置きたい方が利用されています。 調停と比べ具体的なアドバイスやカウンセリング、後に調停となり争ったり、裁判にならないように回避する目的のものです、総額的にも、解決するまでの時間も短く有効です。 夫婦の仲を戻したい方や離婚を前提に別居したいが、ただ離れただけでは離婚の話し合いが進まないので第三者が入りながら別居し、月に2回、離婚か継続かについて両者が検討を望む方が申し込まれます 離婚届を出す予定の方、離婚か継続かの見極めをしたい方、離婚相談の半数以上が別居支援パックを申込みされます。 【第一段階:経緯聴取・別居計画相談】 |
連絡調整手数料 | 2,200円~5,500円+通話時間(相談時間同様) A 相手方に比較的スムーズに連絡が取れる 2,200円(税込) B 相手方以外の方に連絡が必要な場合(親類等・弁護士)3,300円(税込) C 相手方と本人が全く連絡がつかない、親類等への電話などで事情説明から必要な場合 5,500円(税込) ※Aの状況、もしくはBの状況で申し込まれ実際はB・Cなどの状況となる場合は該当する料金を追加費用として申し受けます。 ※1ケースでの料金です。内容が異なる場合や回数が増える場合(基本メールですが電話でなければならない場合や通話時間、回数等により変動)は内容に応じて金額が変わります。(基本、メール4往復までが上記金額となります。 ) ※通話時間が相談時間(代行時間)となります。 ※相談パックでお申込みの場合は連絡調整手数料+通話時間は相談パック内での消化となります。 |