離婚調停とは家庭裁判所にて、これまでの時系列を元に取り決めを行う場所です。これまでの紛争の一つ一つを争い答えを出す場所ではありません。(争いの場ではないので、弁護士を付ける必要もありません。むしろ弁護士がつけば争いに発展するケースが多い様です。)
【調停を申立てる裁判所】
調停は基本的に相手方の所在地を管轄する簡易裁判所(家庭裁判所)で行われます。
【裁判所変更方法】
1.合意管轄
調停を申し立てる裁判所を変える方法として、「合意管轄(ごういかんかつ)」という方法があります。合意管轄とは、あらかじめ指定した家庭裁判所で調停を行うことを夫婦双方が合意し、その裁判所で調停を行えるよう裁判所に求める手続きです。
なお、この手続きを利用するためには、「管轄合意書」といって夫婦双方が合意していることを示す書面を裁判所に提出する必要があります。
2.自庁処理
自庁処理とは、どうしても自身の近くの家庭裁判所で調停を開いてほしい場合、その事情を記載した上申書を裁判所に提出し、裁判官に判断を求める方法です。これが認められると、裁判官が自らの権限で調停を開く裁判所を指定して事件処理することから自庁処理と言われています。しかし、いくら自庁処理が認められたからといって、相手が裁判所に足を運んでくれなければ調停が成立することはありません。
3.移送申立
自庁処理が申立人の利用できる手続きであるのに対して、申し立てられた側には、「移送申立」という対抗手段があります。
移送申立とは、自庁処理と同じように上申書を裁判所に提出し、裁判所の移送(変更)を求める手続きを言います。なお、移送申立も最終的な判断は裁判官がすることになっているため、相応の事情がなければ認められることはありません。調停を申し立てられ、話し合いをする意思はあるものの、遠方過ぎて足を運ぶのが難しい場合には移送申立を利用するのが良いでしょう。もちろん無理に移送申立をせず、調停不成立にしてしまうという方法もあります。どちらにしても調停は、どちらか一方が裁判所に足を運ばなければ、そのまま不成立になってしまう手続きです。
【調停を遠隔(遠方)で行う方法】
・電話会議システム
調停は電話会議システムやテレビ会議システム(以下、電話会議システム等)で行うことが平成25年1月から可能になりました(家事事件手続法第258条第1項による同法第54条第1項の準用)。そのため、管轄で争うことの意味は薄れてきたのですが、問題は離婚調停の成立時です。離婚調停と離縁調停は、電話会議システム等での成立が許されません(家事事件手続法第268条第3項)。また、離婚調停と離縁調停は、調停委員会から提示された調停条項案を受諾する旨の書面によっても、調停を成立させることができません(家事事件手続法第270条第2項)。したがって、離婚調停の成立時(最後の調停期日)は、どんなに遠くても管轄裁判所まで行かなくてはなりません。手続きとしては調停を申し立てたときに、その担当している裁判所に対して「電話会議を希望しますが、認めてもらえないでしょうか」ということで交渉していくことになります。
【調停の流れ】
申立人が調停申立書を裁判所に提出して10日前後で相手方へ調停の期日が書かれた書面、申立人の調停申立書の写し及びそれに対する回答書、連絡先の取り扱いに関する書面、返信用封筒が届きます。第一回目の調停は相手方に封書が届いた日の約1か月後です。
1回目は離婚の意思を確認され、どういう条件であれば離婚に応じるかなどが話合われます。(子がいる家庭では、どちらが親権者になるかが一番最初に話合われます)2回目は慰謝料や養育費、年金分割や面会交流について話合われます。3回目はこれらトータル的な合意の上、最終合意(離婚に応じるか、または離婚を求めるかも含め)確認が行われます。もちろん、次回までに養育費についてや面会交流について考えてきてくださいといったような進行ですので、2回目の質問に対しての回答を3回目にしたり、3回目の質問の回答を4回目にしたりすることはよくあります。もしも、両者の同意が難しく、平行線のまま調停が進めば、調停委員から強制的に審判を下す(調停不成立にする)と、強い口調で言われるケースもあります。宮城県の場合は平均5.6回調停が行われています。つまり、5~6か月かかるという事です。
【調停の強制力】
調停に強制力はありません。つまり、相手方が調停に応じず、現れなければ進みません。調停に現れなかったからと言ってペナルティーや罰金があるわけではないのです。
【調停の取り下げ】
調停の取り下げは申立人しかできません。つまり、状況に応じ選択肢があるのは申立人と言っても過言ではないのです。
【調停の頻度】
調停は月に1度(3時間程度)のペースで行われます。
【調停で合意できなかった場合】
条件や離婚自体が合意できなかった場合は調停不成立となります。また、これ以上調停を続けても無意味と調停委員が判断した場合も不成立となります。
不成立となった場合の選択肢は1.再び離婚協議をする。2.裁判を起こす。3、離婚を諦める。4.再び調停を申し立てる。という4つの選択肢がありますが、不成立になり、すぐに離婚調停を申し立てても意味がありません。裁判をお越した場合、高額な弁護士費用を出し、更に長期に亘るのは避けれません。結果が伴えば良いですが、離婚できない場合もあります。
※平成29年1月に離婚裁判までした夫婦が相談に訪れました。この夫婦は約2年別居し調停1年、裁判1年行いましたが、裁判官は離婚を認めませんでした。妻側は弁護士費用に約160万円かけましたが、慰謝料も取れず、離婚もできなかったのです。
例えばDV・モラハラの夫に関してであれば「夫の基本的性格・夫婦生活の実態・精神的苦痛の履歴・その他、状況説明図など、一つの内容でも複数の事柄、複数の要素(要点)で分析しながら主張しなければ、自身の精神的な側面に偏った書面となり、調停員・裁判官はただの夫婦喧嘩の延長と捉えるかもしれません。
調停をしても離婚できなかった、婚姻費用分担でもめた、後に相手方が調停にも出てこなくなった、連絡がつかなくなったなど、調停の中身や現実を知らないで(専門家に相談せずに)調停を行い後に取り返しのつかないところまでいき相談に訪れる人もいます。
「調停申立書は、・申立書・時系列年表・主張内容別紙・各添付」と完璧に作ってから申し立てるのは常識です。申立書ぺら1枚で出すのは絶対に避けましょう。平均、A4サイズで7枚(添付含む)ほどになります。」
※裁判文書表記例
家事事件 | 事件記録符号 |
---|---|
家事審判事件 | 家 |
家事調停事件 | 家イ |
家事雑事件 | 家ロ |
家事共助事件 | 家ハ |
家事抗告提起事件 | 家ニ |
人事訴訟事件 | 家ホ |
通常訴訟事件 | 家ヘ |
民事控訴提起等事件 | 家ト |
民事再審事件 | 家チ |
保全命令事件 | 家リ |
民事事件 | 事件記録符号 |
---|---|
民事一般調停事件 | ノ |
宅地建物調停事件 | ユ |
農事調停事件 | セ |
商事調停事件 | メ |
鉱害調停事件 | ス |
交通調停事件 | 交 |
公害調停事件 | 公 |
特定調停事件 | 特ノ |
※事件記録符号は法改正で変わる場合もあります。
その他、調停において相手と顔を合わせないように先に帰りたいなどの場合は「進行に関する照会回答書」に記載すれば考慮してもらえる場合があります。もちろん、この回答書は相手方には見られません。
申し立てる場所:相手方住所地の家庭裁判所または夫婦の合意で定めた家庭裁判
必要な書類:夫婦関係調整調停申立書、夫婦の戸籍謄本(本籍のある役所に請求する)、年金分割がある場合は年金分割のための情報通知書(日本年金機構に請求する)
申立て費用:収入印紙1,200円、連絡用の郵便切手(家裁により異なるが800円程度)
(1)調停の申立(申立人)と回答書(相手方)
調停を申立てる側は「申立人」、申し立てられた側が「相手方」と呼ばれます。申立書や調停での準備書面においても、この呼び名で交わされます。また、添付書面等には右上に朱色にて「申立人は甲第○号証」「相手方は乙第○号証」と表記して提出します。申立書を裁判所に提出して一週間から10日ほどで裁判所から調停の申し立てがあった旨の封書(書面)が相手方に届きます。封書には、申立人の言っている事実に対して回答書が同封されています。書面を第一回調停期日の一週間前には発送するように書かれています。通常、弁護士が代理人となる場合、回答書も相手方弁護士に副本として直送しますが、個人で行う場合は裁判所に2部送っても問題ありません。(常識的に調停の間際ではなく、相手方のことを考えて早めに送りましょう。)
(2)調停室に入るまで
家庭裁判所より事前に届いている書面(家事番号記載)を家事書記官室に持参し、来所リストに確認を受けたら待合室に移動し調停開始時間まで待機する、時間になると調停員が呼びにきます。以前は名前で呼ばれていましたが、最近では番号札を渡され番号で呼ばれることが多いです。申立人と相手方の待合室は別れており、接見することはありません。調停委員が交互に呼びに行き、交互に調停室に入ります。
(3)調停(裁判所職員)の役目と調停の実務
子がいる家庭では調停員(話を聞く役目)以外に調査官(幼児教育などを専門的に学んだ有資格者)が同席し、話を伺います。調停は月に1度行われ両者の主張を調停員が聞き話をまとめ、両者に妥協を促します。問題の原因を両者が冷静に考え和解する場所ではなく、両者の意見を一応、聞くが、争いを続けても収束しないので、相手方はこの様にいっているが、どうすれば妥協し歩み寄れるか、という妥協点を両者に打診する役割です。両者が譲らなければ調停は不成立となり、審判に移行し、裁判官の裁量で決まります。
※調停とは裁判に移行しないためのもので日本では調停前置き制度があるため調停を行わないと裁判に移行することは出来ません。
1.調停は話し合いの場ではなく取り決めの場、根本的な原因や今後を冷静に考えることは殆どなく、互いが条件を主張し合います。
2.夫婦円満調停でも相手方が離婚したと言い出せば、事実上、内容は夫婦関係調停調停(離婚)に切り替わります。(円満調停は夫婦仲を戻すものとだけ捉え申し立てたが、相手方が離婚したいと言い出し、結果、離婚する為の条件や別居・面会交流まで取り決められてしまったと慌てて相談に訪れた方もいます。)
(4)調停の現実
調停で弁護士が入ると大抵が紛争は激化する傾向があります、「相手方は自己中心的な行いをし、その為、申立者が心身ともに疲労困憊した、この様な身勝手な相手方に対し申立人は・・・」という様な和解を求めた文面より、事実であっても相手を否定し自己を正当化するところから、言った、言わない、それはそっちがやったからと紛争が激化し、最も重要な物事の本質や和解とかけ離れた意見の交換となります。結果、養育費は算定表(算定表は最低額、算定表の3~4倍が適正額)争う事で自ら減額に近づけている、逆に言えば、争わないことで増額できるという事です。
(デメリット:高額な弁護士費用を支払い、争う事で自ら養育費や婚姻費用を下げている、別居親は子に会えなくなる(会う頻度が低くなる))
(5)調停で交わされる書面(陳述書・準備書面・回答書・返答書・その他)
調停では基本的に準備書面という「調停で次の題材として主張する書面」や質問に関する回答書や答弁書が交わされます。難しく書く必要性はありません、素人でも要素さえおさえ、自身の伝えたいことをしっかり書けば問題ありません。弁護士に任せないと提出が出来ないものではありません。(難しくありません。)
※左上に事件番号、申立人と相手方の氏名、家庭裁判所名
※各書面に添付する資料には右上に朱書(赤字)で申立書は「甲第○号証」相手方は「乙第○号証」と表記して提出します。もちろん、準備書面等の文中に(甲1)(乙1)などと表記して書面と資料を紐付けします。
ちなみに、弁護士に依頼すると5万円~10万円が相場(報酬は自由制)の様です。例えば、これらの書面を5回往復したとすると25万~50万ということです。調停で約80万、裁判まで行き150~180万円となるのは契約金・書面・立ち合い・成果報酬などです。
(6)調停で主張や反論するリスク
調停を行い取り決めをすれば安心と考えてはいけない。仮に調停で養育費を5万円と取り決めても支払う側に借金(架空含む)が出来たり支払わないで拒否すれば、再度、調停を起こすことになります。調停になる夫婦の多くが両者で争った結果、調停に移行していることが多く、そのまま争い(相手が悪いと主張し合い)、仕方なく同意(取り決め)をしてしまうので、後に約束を守らなくなります。これは養育費の問題だけではなく、親権者は相手方(別居親:子と離れて暮らす親)に子供を会わせたくない、自分も相手方に会いたくないと考えます、結果、親権者は養育費の支払いに関する調停を申し立てなければならなくなります。別居親も同様に何ヶ月もかけ面会交流調停を行います、特に面会交流の調停は「子が体調不良で面倒をみなければいけないので調停に行けない、自身が体調不良である、用事がある、などスケジュール通りにいかないケースが多く、長引きます。また、最初の離婚調停と同じく、和解ではなく、互いが主張し合い、渋々、同意しているケースが多いため、またもや取り決めを守らない場合が多く、調停から裁判へ移行したり、何度も調停を繰り返すこともあります。※過去の相談者の中には調停7回目、裁判3回目、離婚後に争い続け8年目という方もいらっしゃいました。
(6)調停を申し立てれば離婚できると思っている
調停という実際、調停委員が語るように場所は取り決めの場所であり話し合いの場所ではありません。両者が争い主張しても、どちらか一方が離婚したくないと言い続ければ(民法が定める離婚理由)がなければ離婚は成立しません。裁判官が独断で離婚させることはありません。(知人や友人、110番してかけつけた警察官等に調停をすればいいと言われたため調停をしたが離婚が出来ないこと(現実)に気付き相談に訪れる方が後を絶ちません。調停も裁判も事由がないと離婚はできないのです。離婚したいという妻に対して、話し合いに応じない夫が意図的に離婚を拒否し裁判でも離婚に応じず、結局、妻は離婚できないで弁護士費用(約200万円)を支払っただけで何も決まらなかった。このようなことはよくあることです。離婚理由を明確にして離婚を進めるのと、感情的になり調停に飛び込むのでは、結果が大きく異なるのです。)
(7)お金がない場合:扶助制度
【法テラスの扶助制度:お役立ちリンク】
「収入等が一定額以下である」などの条件を満たすことが必要です。
利用可能かどうかは法テラスのオンラインシステムをお試しください。
※補足※
特に離婚する為に弁護士を雇うという方や調停で勝つ、負けるという思考の場合はこの様な状況になりがちです。弁護士は救済です、事実よりも更に酷く相手を否定し自己を正当化すると、真実を知る相手方が虚偽の事実であると捉え、必死に言い返しにかかります。気付けばいい争い、意見は割れ、審判待ちになります、そこまでいけば書面作成等でも費用はかかり、弁護士費用も相当額かかります。(弁護士をつけるならば審判に移行させない、和解できる弁護士と契約しましょう。)
通常相談料 | 50分 10,000円 以後延長 30分 6,000 |
各相談パック | 1)相談パック(110分×3=合計330分 66,000円 離婚相談者の9割が相談パックを利用されます。 (閲覧必須)各相談パックのメリットについて |
書面作成 アドバイス料 |
1件 7,150円(相手方への提出書類の場合は1ケース) |
別居支援パック | 別居支援パック 1段階(経緯聴取・別居計画相談 110分×3=合計330分)合計66,000円 2段階(別居状況の確認と意向聴取 110分×6=合計660分)合計132,000円 ※月に2回、3ヶ月、6回の別居を基本計算としています。また、最終日に離婚となる場合は離婚についての取り決め相談も行います。 (1)最優先予約者(2)第二段階時の費用は3回まで分割可能 【メリット】 ・調停や裁判となり長期化することを回避できる ・第三者が入り別居することで両者が冷静に継続か離婚かを検討できる ・慰謝料・養育費・婚姻費用等の争いを避けることができる ・子どもに会わせたくない(同居親側)と子に会わせてもらえない(別居親側)という状態への対策となる。(相談なく子を連れて実家に等、子の連れ去りの抑止力になる) 調停や裁判に移行する可能性のある方や本人もしくは相手方が離婚を決意していて争わない様に離婚、もしくは婚姻を維持するための別居期間を置きたい方が利用されています。 調停と比べ具体的なアドバイスやカウンセリング、後に調停となり争ったり、裁判にならないように回避する目的のものです、総額的にも、解決するまでの時間も短く有効です。 夫婦の仲を戻したい方や離婚を前提に別居したいが、ただ離れただけでは離婚の話し合いが進まないので第三者が入りながら別居し、月に2回、離婚か継続かについて両者が検討を望む方が申し込まれます 離婚届を出す予定の方、離婚か継続かの見極めをしたい方、離婚相談の半数以上が別居支援パックを申込みされます。 【第一段階:経緯聴取・別居計画相談】 |
連絡調整手数料 | 2,200円~5,500円+通話時間(相談時間同様) A 相手方に比較的スムーズに連絡が取れる 2,200円(税込) B 相手方以外の方に連絡が必要な場合(親類等・弁護士)3,300円(税込) C 相手方と本人が全く連絡がつかない、親類等への電話などで事情説明から必要な場合 5,500円(税込) ※Aの状況、もしくはBの状況で申し込まれ実際はB・Cなどの状況となる場合は該当する料金を追加費用として申し受けます。 ※1ケースでの料金です。内容が異なる場合や回数が増える場合(基本メールですが電話でなければならない場合や通話時間、回数等により変動)は内容に応じて金額が変わります。(基本、メール4往復までが上記金額となります。 ) ※通話時間が相談時間(代行時間)となります。 ※相談パックでお申込みの場合は連絡調整手数料+通話時間は相談パック内での消化となります。 |