「家庭の法と裁判」第6号で紹介された大阪家裁平成27年3月13日審判
最一小平成26年7月17日判決により法律上の父と認められた夫が、妻に対し、子との面会交流を求めたのに対し、子が生物学上の父と平穏に暮らしていることなどを理由として、面会交流を認めず、申立てを却下した事例です。事案は以下のとおりです。X(夫)とY(妻)は、平成16年に婚姻したが、Xは単身赴任であったことから、月に2,3回程度Yが居住する自宅に帰っていました。平成19年ころに、Yは、交流サイトを通じて、Bと知り合い、親密な交際をするようになりましたが、これは、Xが知るところではなく、XはYと共に旅行をするなど、夫婦の実態が失われることはありませんでした。平成21年、Yは、Aを出産し、Xも、Aのために保育園の行事に参加するなどして、Aを監護養育してきました。 平成23年、Xが、Yの不倫を知り、Yは、Aを連れて別居を開始し、Aを連れて、B宅で同居するようになりました。 Xは、Yに対して、Aの監護権者をXと定めること、また、Aを引き渡すよう家裁に申し立てをしましたが、却下されました。 平成23年、Yは、離婚調停を申し立てたものの、Xが応じなかったために、不調となり、Yは、平成24年、離婚裁判を申し立てましたが、途中で取り下げしました。Yは、XとAとの親子関係不存在確認の訴えを提起しましたが、最高裁は、その訴えを却下しました。平成26年、Xは、家裁に面会交流の申し立てを行いましたが、Yが拒んだだめに、本件審判手続に移行しました。
判タNo1393号(東京高裁平成25年7月3日決定)
Xは夫、Yは妻、Yが長女を連れて家を出た直接の原因は、Yの不貞行為により暴力をふるわれたことにあるようです。東京高裁は以下のとおり判断しています。
Yの主張する面会交流を認めるべきではないという主張に対しては、次の理由から排斥しています。すなわち、面会交流は、「未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事情がない限り、面会交流を実施していくのが相当である」ところ、本件では、特段の事情は認められないとして、面会交流を認めるのが相当であると判断しました。問題は、具体的に、どのような面会交流をさせるのが相当であるかという点にあったようです。
裁判所は、原審の定めた面会要領では不十分であると判断しました。
① 原審判が定めた面会要領のうち、頻度等や受渡場所、未成年者の受渡し方法は、その根拠となる情報等が一件記録からは窺えす、その相当性について判断することができないばかりか、これらについて当事者間で主張を交わす等して検討がされた形跡も認められないこと
② 殊に、Yが、同居中に行われたXの暴力や言動を理由に、Xに対する恐怖心を強く主張している本件において、未成年者の送迎時にXと顔を合わせるような受渡方法は、かなり無理があること
③ XがYに対する暴力の事実を否定していない本件においては、第三者期間の利用等を検討することがまず考えられるべきであるし、その場合、仲介費用等の面で問題があれば、未成年者が1人でも行くことができる受渡場所の設定を検討したり、未成年者が信頼できる第三者を介したりすることも検討すべきであるなどを指摘して、原審の審理は不十分であるとして、本件を原審に差し戻しました。高裁は、夫婦の不和による別居に伴う子の喪失感やこれによる不安定な心理状態を回復させ、健全な成長を図るために、未成年者の福祉を害する等面会交流を制限すべき特段の事情がない限り、面会交流を実施していくのが相当であると判断しており、一定の評価が可能だろうと思います
大阪高裁平成22年7月23日決定 家庭裁判月報平成24年1月第64巻第1号の「家庭裁判所事件の概況」で報告された裁判例です。第1審は、子と非監護親との面会交流が制限されるのは面会交流をすることが子の福祉を害すると認められる場合に限られるところ、申立人(父)が相手方(母)や未成年者に暴力を振るっていたとは認められず、その他、申立人が未成年者と面会交流をすることが不適切であるとする事情は認められないとし、離婚による未成年者の喪失感や不安定な心理的状況を回復させ、未成年者の健全な成長を図るためにもできるだけ早期に面会交流を実施することが重要であるとした上で、申立人と未成年者(原審判当時2歳1か月)が約1年8か月間会っていないこと等を考慮し、面会交流の回数及び時間を段階的に増やす内容を定めました。第2審も、未成年者の健全な成長のためには可及的速やかに申立人との面会交流を実現すべきとした上で、面会交流は基本的に子の福祉のために実施するものであり、長期間申立人との面会交流が実現しなかったという事実、未成年者の年齢、円満な面会交流実施の可能性などを踏まえて頻度等を決定すべきであるとした上で、これらの事情を考慮して面会交流の頻度や時間を段階的に増加させる原審判は相当であるとしました。離婚問題などで当事者が激しく対立している状況の下において、子どもを監護している妻が、夫との面会交流を拒絶するというケースは離婚を扱う弁護士では、比較的よく経験することです。妻の感情のみで父親である夫の面会交流を拒絶するというのは本来あってはいけないことです。とはいえ、夫に暴力等面会交流の実施が子の福祉を害すると認められる場合には、面会交流の実施は困難となります。
家庭裁判月報第63巻第3号 面会交流調停成立後の非監護親の行為が、監護親の心理的負担となり、その感情を害するものであるとしても、その行為が調停合意に反するものとはいえず、子が面会交流について消極的意向を有していなかったなど判示の事情の下では、監護親が調停において合意した面会交流を拒絶したことについて正当な理由があったとはいえず、監護親は、非監護親に対して、債務不履行に基づく損害賠償責任を求めました(70万円)。控訴審(東京高裁平成22年3月3日判決)も原審の判断を維持しています。調停などの合意があるにも拘わらず、面会交流に消極的な監護親に対しては、慰謝料請求を行う方法で、間接的に面会交流を実現できるようにしなければならない。
東京家審昭和39・12・14家月17巻4号55頁は、離婚後親権もしくは監護権を有しない親は、未成熟子の福祉を害することがない限り、未成熟子との面接交渉権を有し、その行使に必要な事項につき、他方の親との協議が調わないとき、またはできないときは、家庭裁判がこれを定めるべきであるとした。
東京高決平成2・2・19家月42巻8号57頁は、別居して離婚訴訟が係属中の夫婦の夫が求めた長男との面接交渉申立てを容認した審判に対する即時抗告申立事件において「夫婦が少なくとも事実上の離婚状態にある場合には民法766条を類推適用すべきであるとした上、原審判(千葉家審平成元年・8・14家月42巻8号68ページ)が認めた面接交渉は子の福祉を損なう恐れが強いので、現時点ではこれを許さないことを相当とする余地があり、また、仮に許すとしても家裁調査官等を関与させる等の配慮が必要である」とした。
大阪家審平成5・12・22家月47巻4号45頁は、面接交渉権の法的性質について、子の監護義務を全うするために親に認められる権利である側面を有する一方、人格の円満な発達に不可欠な両親の合い行くの享受を求める子の権利として性質をも有するものというべきであるとした上、「未成年者らがあと数年成長後に申立人を慕って面接交渉を望む期待を持たせることとするのが未成年者らの福祉のため適当である」とした。
岐阜家大垣支審平成8・3・18家月48巻9号57頁は、被親権者父が、親権者母との間に面接交渉の約束に基づき、母の監護下にある事件本人との面接交渉を求めた事案において、「事件本人はまだ3歳と幼年であり、母の手から離れ、異なった環境の中で 父と時間を過ごすことは、事件本人に少なからぬ不安感を与える」とした。
横浜家審平成8・4・30家月49巻3号75頁は、 「父母間の対立が激しく、親権者であれ親が非親権者である親による面接交渉に強く反対している場合においては、特段の事情がない面接交渉を回避するのが相当であるが、この年齢等から子が単独で非親権者面接することが可能である時は、親権者が反対であっても原則として面接交渉を認めることができる」として、毎年1回の中学2年生の子との面接交渉を認めた。
大阪高決平成21・1・16は不法滞在のために国外退去命令を受けている外国籍の父が子との面接交渉を求めた事案において「面接交渉は子の健全な成長にとって重要な意義があるため、面接交渉が制限されるのは子の福祉を害すると認められる例外的な場合に限られるところ、本件父が退去強制になった場合に未成年者が落胆し悲しむとしても、父を知らないまま成長することに比べて、父からも愛されてきたことを知ることは未成年者の成長にとって重要な糧となり、また、未成年者が自己の存在の由来にかかわる国について知る重要な機会になる」としれ3か月に1度、母親が付き添
横浜地半平成21・7・8家月63巻3号95頁は「非監護親による面接交渉の頻度や態様等に係る要求や、監護親の意に反する学校行事への参加が監護親の心理的負担となり、あるいは、監護親の感情を害したことが面接交渉拒絶の契機となっていたとしても、これらじ事情が面接交渉を拒絶する正当な理由とはならない」とした。
東京家審平成24・6・29は「情緒障害児短期治療施設または児童養護施設に入所中の未成年者らと非親権者である父との面会交流については、おのおのが入所する施設の未成年者らに対する指導方針を尊重しながら行われる必要があるから、具体的な日時、場所および法法を上記各施設と協議して定めたうえで、これを認めるのが相当であり、上記協議がされたうえで実施される面会交流を親権者である母が承諾を与えないなどとして妨げることはできない」とした。
東京高決平成25・6・25家月65巻7号183頁は、「本件父母間には離婚をめぐる紛争が係属し、父母間の信頼関係が失われている状況にあり、母が未成年者を連れ去られる危険性があるという懸念を抱くことにもやむを得ない事情がある状況を考慮すると、父と未成年者の面会交流うぃ早急に開始するためには、第三者機関の立ち合いという方法で回数も控えめに面会交流を開始するのが相当であり、母は2か月に1度、午前10時から午後6時までの時間枠内で、初回は1時間、2回目以降は4時間を限度として、第三者機関の立ち合いの下、事父が面会交流を行うことを認めなければならない」とした。
通常相談料 | 50分 10,000円 以後延長 30分 6,000 |
各相談パック | 1)相談パック(110分×3=合計330分 66,000円 離婚相談者の9割が相談パックを利用されます。 (閲覧必須)各相談パックのメリットについて |
書面作成 アドバイス料 |
1件 7,150円(相手方への提出書類の場合は1ケース) |
別居支援パック | 別居支援パック 1段階(経緯聴取・別居計画相談 110分×3=合計330分)合計66,000円 2段階(別居状況の確認と意向聴取 110分×6=合計660分)合計132,000円 ※月に2回、3ヶ月、6回の別居を基本計算としています。また、最終日に離婚となる場合は離婚についての取り決め相談も行います。 (1)最優先予約者(2)第二段階時の費用は3回まで分割可能 【メリット】 ・調停や裁判となり長期化することを回避できる ・第三者が入り別居することで両者が冷静に継続か離婚かを検討できる ・慰謝料・養育費・婚姻費用等の争いを避けることができる ・子どもに会わせたくない(同居親側)と子に会わせてもらえない(別居親側)という状態への対策となる。(相談なく子を連れて実家に等、子の連れ去りの抑止力になる) 調停や裁判に移行する可能性のある方や本人もしくは相手方が離婚を決意していて争わない様に離婚、もしくは婚姻を維持するための別居期間を置きたい方が利用されています。 調停と比べ具体的なアドバイスやカウンセリング、後に調停となり争ったり、裁判にならないように回避する目的のものです、総額的にも、解決するまでの時間も短く有効です。 夫婦の仲を戻したい方や離婚を前提に別居したいが、ただ離れただけでは離婚の話し合いが進まないので第三者が入りながら別居し、月に2回、離婚か継続かについて両者が検討を望む方が申し込まれます 離婚届を出す予定の方、離婚か継続かの見極めをしたい方、離婚相談の半数以上が別居支援パックを申込みされます。 【第一段階:経緯聴取・別居計画相談】 |
連絡調整手数料 | 2,200円~5,500円+通話時間(相談時間同様) A 相手方に比較的スムーズに連絡が取れる 2,200円(税込) B 相手方以外の方に連絡が必要な場合(親類等・弁護士)3,300円(税込) C 相手方と本人が全く連絡がつかない、親類等への電話などで事情説明から必要な場合 5,500円(税込) ※Aの状況、もしくはBの状況で申し込まれ実際はB・Cなどの状況となる場合は該当する料金を追加費用として申し受けます。 ※1ケースでの料金です。内容が異なる場合や回数が増える場合(基本メールですが電話でなければならない場合や通話時間、回数等により変動)は内容に応じて金額が変わります。(基本、メール4往復までが上記金額となります。 ) ※通話時間が相談時間(代行時間)となります。 ※相談パックでお申込みの場合は連絡調整手数料+通話時間は相談パック内での消化となります。 |