一般的には東京・大阪の裁判例の裁判官による東京・大阪養育費研究会による算定表が基準となっている。調停や裁判等でもこれを基準に養育費が決められている。 外部リンク:裁判所養育費算定表(令和元年12月23日改訂版)
(1)定期金の支払い
(ア)生活あるいは経済活動が月を単位に営まれていることから、1か月を単位として一定額を支払う法法が一般的である。支払時期としては①当月分を当月中に支払う、②翌月分を先払いする、③当月分を後払いするなどがある。
(イ)賞与時期の加算
症よ時期に加算して支払う旨の合意である。この場合には、定期の月額に加算して支払うのか、賞与時期(たとえば7月及び12月)については月額を変更するか決める。
(ウ)子の卒業入学などの支度金等
一般的には折半することが多いが所得に差がある場合などは高所得者が側が7割程度で取り決めすることもある。
(2)一時金の支払い
養育費の支払期間中の総額を一括し、あるいは数回に分割して支払う旨の合意である。
一括払いの場合の問題点は、①支払われた養育費が別の用途で消費された場合には、支払い義務者はさらに養育費を支払う義務があるのか、②一括払いされた養育費の額に不満があり、更に養育費を請求された場合は別途養育費を支払う義務があるのか。などである。
(3)不動産の譲渡と代物弁済
養育費相当額に代えて現在居住する住居の所有権を譲渡する合意がなされることがある。この不動産譲渡の法的性質について、代物弁済ではないが大仏弁済類似の行為とする考え方がある。代物弁済は、具体的には形成された本来の給付たる金銭給付に代えて不動産を譲渡する場合ととらえたうえで、当該不動産の譲渡は養育費そのものであり、本来の給付たる金銭支払いに代えて、他の給付である不動産を譲渡することにより本来の債権を消滅させる合意の履行ではないから代物弁済にはあたらないと理解する。この件階の基礎には、家事事件手続法154条3項によれば、子の監護について相当な処分を命ずる審判において財産上の給付を命ずることが出来ることから養育費の支払いにあたるとする考え方がある。
(ア)養育費支払いの始期は、調停が成立した月からと定めることが一般的です。
(イ)養育費支払いの終期は、子が成人に達したときは母(父)の親権が終了するので、この監護に関する処分としての養育費は子の成人に達するまでとすることが理論的だが、近年では大学卒業までと合意する傾向が多い。
この点につき、大阪高決昭和57・5・17家月35巻10号62頁は、父母の離婚後、子を監護養育する母(親権者)が父に対して将来子が大学に進学した場合の学費等の負担を求めて成人に達した以後の分をも含む養育費を請求した事案において、子が成人に達したときは母の親権が終了するから、子の監護に関する処分としての養育費の請求は、子が成人に達するまでの分に限られるとして、子が成人に達する月まで養育費の支払いのみを命じた原審判を維持した。
(ア)考慮される事情
社会経済的要因としては物価の高騰、貨幣価値の変動などがあげられる。当事者にかかわる要因としては、父母の再婚、再婚に伴う未成熟子の養子縁組、父母の病気、就職、失業、収入の大幅な増減などです。これらは養育費の算定の基礎に大きな変動があったと認められている要因です。
(イ)変更申立する管轄裁判所
養育費の増減に関して協議で決めることができない場合は相手方の住所地を管轄する家庭裁判にて申立てをおこない調停で決める。
(ウ)親権者の再婚に伴う養子縁組の場合
養親は養子を全面的に監護養育する権利義務を負担するものであり、養子の養育費は養親が第一次的に負担し、実親は養親に扶養する資力がないなどの事情があったときに第二次的に生活保持義務を負う。
【再婚や養子縁組による養育費の変更】
大阪高決平成19・11・9家月60巻6号55頁は、当事者の合意によって養育費の分担期間を定めた場合において「合意による養育費分担の終期以降も費用の分担を求めるためには、その終期の定を維持することが相当でないと認め得るような事情変更ふぁあることを要するところ、当該合意後、未成年者と権利者の再婚相手との養子縁組、支払い義務者の再婚及び子の誕生といった養育費の分担を減免させるような事情変更が生じたふぁ、これらについて当事者間では一切考慮されず、その結果、支払い義務者が合意どおりの養育費分担額を支払い続けたといった経緯に照らせば、未成年者の大学入学等に費用を要することをもって、当該合意による養育費分担義務の終期の定め延長を認めるべき事情変更があったとみなされることは相当ではない」とした。
東京家審平成2・3・6家月42関9号51頁は、父親が、協議離婚の際に公正証書によって合意した養育費等の支払い義務の免除または減額を求めた事案において「父母双方が別の相手と再婚し、子らが母親の再婚相手と養子縁組をしたことは、前記合意がなされた当時予測しあるいは前提とし得なかったことと解されるので事情変更の原則または民法880条により前期合意の変更が許可されるべきである」として申立てを容認した。
福島家会津若松支半平成19・11・9家月60巻6号62頁は、公正証書により養育費の支払いが定められた後、支払い義務者(夫)が再婚し、再婚相手との間に子が産まれたことは、養育費を変更すべき事情の事情にあたるとして、毎月の養育費支払い額を2分の1に減額したが、再婚相手も育児休業期間経過後には就労が可能であるから、養育費減額を認める機関も上記育児休業期間終了月までとするのが相当であるとした。
福岡高決平成26・6・30半タ1410号100頁は、抗告人(原審(熊持家審平成26・1・24半タ1410号108頁)申立人)が高所得者であり、同人や相手方(原審相手方、抗告人の元妻)の再婚、養子縁組や新たな子の出生等の事情がある場合において、いわゆる標準算定方式による算定を行ったうえで、諸般の事情を総合考慮して、未成年者一人あたりの養育費を減免した。
【勤務先の退職】
福岡家審平成18・1・18家月58巻8号80頁は、先行する審判において養育費の支払いを命じられた申立人が、勤務先を退社して収入がなくなったとして養育費免除の申立をした事案において「申立人は先行する審判の強制執行を免れるために勤務先を退職したものであるから、申立人が現在収入を得ていないことを前提に養育費を免除することは妥当ではない」として申立人の潜在的稼働能力を前提に申立人が勤務を続けていれば得べかりし収入に基づき養育費を算定し、申立てを却下した。
【子ども手当】
広島高決平成22・6・24裁判所HPは、未成熟子を有する夫婦の離婚事件において平成22年4月より国から支給されることとなった子ども手当や子の養育費の算定にあたり、考慮すべきかどうかが争われた事案である。本判決は、子ども手当の支給について、それが単年度限りの法律に基づくものであること、子宮の趣旨・用件など踏まえ。子の養育費の算定にあたって考慮すべきではないとした。
【協議時に養育費不要の約束をした後に請求】
長野家伊那支半昭和55・3・4家月33巻5号82頁は、協議離婚に際し、親権者となった母は父に対し、離婚後は養育費の請求は一切しない誓約し、かつ、母と母の親族との間で母の親族が母子の離婚後の生活費を援助していく旨の約束をした後、母が子の法定代理人として父に対し養育料を請求した事案につき、「父母間の合意は、母が父に優先して子を扶養する旨の協議の成立と解され、また、母の親族が母子の離婚後の生活を援助するとの意思表示は法的に有効であって、母の親族からの援助はこれを母の視力の一部とみなすことができるから、優先的扶養義務者である母が、その親族による援助を受けつつ不自由なく子を不要している現段階では、子が父に対して扶養を求める必要はない」として申立てを却下した。
大阪高決昭和54・6・18家月32巻3号94頁は「父母の間でなされた母から父に養育費を請求しない旨の合意は、父の子に対する扶養義務を免れさせる効果を有するものではなく、母が子を不要する能力を欠くときは、父から子に対する扶養義務が課せられなければならず、右合意の存在は父から母に支払うべき扶養料の額を定めるについて有力なしんしゃく事由となるにとどまる」(要旨)とした。



















